御茸山古墳群

福井県指定史跡(1978年10月11日)
分布調査により現在120基の古墳が記録されている。
内訳は円墳75基、方墳42基、前方後円墳2基、前方後方墳1基である。発掘調査された古墳はない。
古墳群は、尾根北端から南へ距離650m、海抜30〜110mの尾根上に展開する北支群と約1.5kmの区間に展開する南支群に大別される。
北支郡には、主軸長約70mの前方後円墳である41号墳、主軸長43mの前方後円墳である44号墳が含まれる。また、直径30m級の円墳である31号墳(経33.7m)、37号墳(経28.2m)の2古墳も存在する。南支群に比較すると、方墳の比率が高いことは北支群の特徴としてあげられる。なお、分神社の南と北の東西に延びる枝尾根上にそれぞれ展開する20〜22号墳、97〜105号墳の群には、主尾根上の群とは造営時期等に差がある可能性が考えられる。
南支群には、主軸長約45mの前方後円墳である66号墳(通称鉢伏山古墳)が存在する。この他、直径40mを超える大型円墳である62号墳(経42m)、直経56.2mの福井県内でも最大級の大型円墳である87号墳(通称谷地谷古墳)も首長墓級のものとして挙げられる。なお、62号墳では竪穴式石室の天井石と考えられる板状石が露出している。
御茸山には一乗谷朝倉氏遺跡との関係で、中世には古墳を利用した山城も築かれ、62号墳63号墳間の堀切は中世山城の遺構と考えられる。
御茸山古墳群は福井市内でも有数な良好に遺存する遺跡である。発掘調査がなされていないため詳細は不明な点は多いが、前方後円墳の形態から最盛期は5世紀代と考えられる。この時期、足羽川を挟んだ対岸の酒生古墳群天神古墳群には豊富な副葬品の出土をみた天神山7号墳があるが、同支群では前方後円(方)墳は確認されておらず、前方後円墳2基、前方後方墳1基を有する御茸山古墳群の優越性が推定される。
足羽川の平野への流出口に、あたかも足羽川の推理を押さえるごとく立地する御茸山古墳群は、足羽川水系を考える上で欠くことのできない古墳群である。
(福井市史 資料編1 抜粋)
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